狩猟免許の事前講習は必要か|銃を触ったことがない人こそ受けたほうがいい3つの理由
猟友会の事前講習は任意ですが、実質的には必須だと考えています。第一種銃猟に合格した経験から、模擬銃に触れること・出題の重点が分かること・会場の下見ができることの3点と、勉強に使ったもの、かけた時間をまとめました。
狩猟免許試験(第一種銃猟・東京都)の記録:全3回

イメージイラストです。実際の講習で使うのは模擬銃と模擬弾です。
この記事でわかること
- 事前講習を受けたほうがいい3つの理由
- 当日の進み方と、講習で扱う範囲
- かかった費用と、勉強にかけた時間
事前講習は、特に私のように銃を触ったことがない人に役立ちます。 理由を3つに分けて書きます。
1つめ|模擬銃に実際に触れる
これが最大の理由です。
銃を触ったことがない状態で技能試験に臨むと、 教科書どおりの手順が頭に入っていても、手がまったく追いつきません。
第一種銃猟の技能試験では、実際に銃を持って手を動かします。 講習では模擬銃と模擬弾を使って、 点検・分解・結合、装填、射撃姿勢、脱包まで、 本番と同じ一連の動きをひととおり練習できます。
銃の重さは、持ってみないと分からない
まず、猟銃の重みが分かります。
数字で「何キロ」と書かれていても、実際に構えたときの感覚とは結びつきません。 腕にかかる重さ、構えたときの安定しなさ。これは触らないと想像できませんでした。
引き金に指がかかる
もうひとつ、触ってみて初めて気づいたことがあります。
銃を自然に持とうとすると、引き金に指が入ります。
形がそうなっているのか、何も意識しないと指が入る位置に来てしまう。 ただし、これは本試験では減点が大きい項目です。
事前講習では模擬テストがあり、そこで何度も 「指をかけない」と指導されました。
頭で「引き金に触らない」と覚えていても、手は勝手にそうなります。 この癖を、本番前に人に見てもらって直せる。 ここが講習の一番の価値でした。
実際、私は試験当日に銃身の上下を逆に持ってしまいました。 講習で一度も触っていなかったら、あそこで終わっていたと思います。
2つめ|出題の傾向が分かる
狩猟読本は範囲が広く、独学だとどこに力を入れればいいのか判断がつきません。
講習では重点を具体的に示してもらえるので、限られた時間の配分がはっきりします。 働きながら準備する人にとっては、ここが一番大きいかもしれません。
3つめ|試験と同じ会場で受けられる
私の場合、講習の会場が試験会場と同じでした。
当日の道順も、建物の中の様子も、一度通っているだけで気持ちがまったく違います。 下見ができるというのは、地味ですが効きました。
教官が同じだったこと
私のときは、講習の教官が本試験でも同じ方でした。
説明の言い回しも、見ているポイントも講習と同じです。 当日は「知っている手順を、知っている人の前でやる」だけになりました。 初対面の緊張がないというのは、思っていたより大きかったです。
勉強に使ったものと、かけた時間
| 使ったもの | 役割 |
|---|---|
| 狩猟読本 | 土台。これを読まないと始まらない |
| 例題集 | 出題の形式に慣れるため |
| 東京都猟友会の事前講習 | 一番効いた |
どちらも大日本猟友会が発行しているもので、事前講習の受講料12,000円に含まれていました。 別で買い足したものはありません。
期間は1か月、毎日1時間ほど。合計で30時間くらいです。
やっていたのは、例題集をひたすら繰り返すことでした。
- 解く
- 間違えた問題にチェックを入れる
- 繰り返し間違える問題だけ、なぜ間違えたかをメモする
3番が効きました。同じ問題を何度も間違えるときは、 覚えていないのではなく、勘違いして覚えていることがほとんどです。 そこを言葉にして書き出すと、次から引っかからなくなります。
私は事前講習の1週間後が本試験でした。 そのあいだは、講習で示された重点の確認と、技能試験のイメージトレーニングをひたすら繰り返しました。
手順を頭のなかで最後までなぞれるようになるまでやる。 これが当日いちばん効きました。
間違えやすい数字(わなの数や、くくりわなの直径など)は、共通問題と免許別問題の練習ページにまとめました。法令の条文をもとにしたオリジナル問題です。
講習は1日、受講料は12,000円
事前講習は1日で完結します。ただし、まる1日です。 受講料は12,000円。狩猟読本と例題集の代金も、ここに含まれています。
私が受けたときのスケジュールはこうでした。
午前:座学(全グループ共通)
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 8:45〜 | 受付開始 |
| 9:10〜 | 会長あいさつ |
| 9:15〜10:10 | 狩猟関係法令について |
| 10:10〜10:20 | 休憩 |
| 10:20〜11:10 | 鳥獣に関する知識について |
| 11:10〜11:20 | 休憩 |
| 11:20〜12:10 | 猟具の取り扱いについて |
| 12:10〜12:45 | 昼食 |
午前の3コマは、そのまま知識試験の出題範囲です。 法令・鳥獣・猟具。この並びで50分ずつ講義を受けます。
午後:技能講習(グループごとにコースを回る)
12時50分から技能講習が始まります。 受講者はグループに分けられ、4つのコースを順番に回っていきます。
| コース | 内容 |
|---|---|
| ①コース | 銃器の取扱い(第一種:点検・分解・結合/第二種:空気銃の取扱い) |
| ②コース | 装填、射撃姿勢、脱包、団体行動時の銃器の保持 |
| ③コース | 銃器の受渡し、休憩時の銃器の取扱い |
| ④コース | 鳥獣の判別・距離の目測 |
| 網・わなコース | 猟具の種類及び判別、猟具の架設、鳥獣の判別 |
1コースあたり約1時間。グループによって回る順番が違います。 終了は16時55分〜17時55分ごろ。案内には「19時ごろの予定」とあったので、 1日まるごと空けておく必要があります。
コースの内容が、そのまま技能試験になる
ここが一番伝えたいところです。
講習の技能コースは、試験当日の技能試験項目とそのまま対応しています。
| 講習のコース | 試験当日の項目 |
|---|---|
| ①コース | 点検・分解・結合/空気銃の操作 |
| ②コース | 装填・姿勢・脱包 |
| ③コース | 団体行動・休憩 |
| ④コース | 鳥獣判別・距離の目測 |
つまり講習を受けるということは、試験の予行演習を1回やるということです。 当日に初めて見る項目がなくなります。
これが「出たほうがいい」ではなく「必須に近い」と書いている理由です。
なお、質問は技能講習がすべて終わったあとにまとめて対応という進め方でした。 講義中に聞けないので、疑問はメモしておいて最後に聞くことになります。
銃に触れると、触りたくなる
技能講習で印象に残った場面があります。
教官が試験当日の流れを説明している最中に、 手元の模擬銃をずっと操作している受講者がいました。 ガチャガチャと音が続いて、最後に教官から 「今は話を聞く時間」と注意が入りました。
気持ちは分かります。目の前に銃があって、触っていいと言われていれば、触りたくなる。 私も初めて手にしたときは同じでした。
ただ、これは単なるマナーの話ではありません。
銃を扱う場では「今は何をする時間か」を守れること自体が問われています。 説明を聞く時間なのか、動かしていい時間なのか。 その切り替えができない状態で実包を持つことになったら、と考えると背筋が伸びます。
講習は、手順を覚える場であると同時に、 銃を持つ人間としてどう振る舞うかを見られている場でもありました。
講習を受けない人もいる
まれに、事前講習を受けず、ネットの情報だけで受験する人がいるそうです。
その場合、流れや確認の仕方が講習で教わる方法と違ってきます。 技能試験は3人1組で回るので、 同じ組にそういう人がいると「あれ、私が間違っているのか」と引っ張られてしまう、という話を聞きました。
これは裏を返せば、講習で教わった手順を自分のものにしておけば動じないということです。 隣を見ないこと。自分の手順を自分で覚えておくこと。
受けてみて考えたこと
独学で臨むのも、もちろん自由です。 費用も1日も節約できるので、そう判断する人がいるのは分かります。
ただ、実際に講習を受けてみて思ったことがあります。
銃は、自分ひとりで完結する道具ではありません。
技能試験も、実際の猟も、複数人で動く場面があります。 団体行動時の銃の保持や、休憩時の取り扱いが試験項目に入っているのは、 そこに事故の芽があるからです。
決められた手順を、決められたとおりにやる。周りと足並みをそろえる。 そういう振る舞いを、あらかじめ人と一緒に練習しておく場でもありました。
手順を覚えるだけなら、独学でもできるのかもしれません。 ただ私は、人と一緒にやる経験を先に積んでおいてよかったと思っています。
まとめ
事前講習は任意です。ただ、私は必須に近いと考えています。
- 模擬銃に触れる … 独学では埋められない
- 出題の重点が分かる … 限られた時間を配分できる
- 会場の下見ができる … 当日の緊張が減る
- 技能コースが試験項目とそのまま同じ … 予行演習が1回できる
かかるのは1日と12,000円。しかもこれに教材費が含まれています。 必要なものが一式そろって、当日の不安がほぼ消えるなら、安いと考えています。
銃を触ったことがない状態から、1か月・毎日1時間と事前講習で合格できました。 特別なことは何もしていません。
※この記事は東京都で2026年8月に受験した際の記録です(合格発表は9月)。 講習の内容・費用・日程は都道府県や実施団体によって異なります。 受講の際は、お住まいの都道府県の猟友会にご確認ください。
※狩猟免許を取得しても、それだけで銃を所持できるわけではありません。 銃の所持には公安委員会への別途の手続きが必要です。