狩猟免許と銃砲所持許可の違い|免許に合格しても銃は持てない
狩猟免許と銃砲所持許可は、出す役所も中身もまったく別の手続きです。第一種銃猟免許に合格した直後の自分が混同していた点を、環境省・警察庁・警視庁の公式情報をもとに整理しました。
東京都の狩猟免許試験を受けて、第一種銃猟免許に合格しました。
合格通知を見て、正直なところ最初に浮かんだのは 「これで銃が持てる」でした。
違いました。持てません。
狩猟免許を取っても、銃はまだ1ミリも自分のものになりません。 銃を持つには、まったく別の手続きをこれから最初から始めることになります。
自分がここを混同していたので、同じところでつまずく人のために整理しておきます。 これは制度の話であって、銃そのものの話ではありません。
結論:別の役所が出す、別のもの
先に結論を書きます。
- 狩猟免許は、都道府県知事が出す「猟具を使って狩猟をしていい」という免許
- 銃砲所持許可は、都道府県公安委員会(警察)が出す「この1丁を持っていい」という許可
環境省の説明でも、この2つははっきり分けて書かれています。 狩猟免許はあくまで狩猟という行為に対する免許であり、 銃の保有を認めるものではない、という位置づけです。
つまり、
- 狩猟免許だけ持っている人 → 銃は持てない
- 銃砲所持許可だけ持っている人 → 標的射撃はできるが、狩猟はできない
- 銃で狩猟をしたい人 → 両方いる
という関係になります。
並べて比べる
2026年9月時点、東京都の場合で並べます。
| 狩猟免許 | 銃砲所持許可 | |
|---|---|---|
| 何の資格か | 猟具を使って狩猟をしていい | その銃1丁を所持していい |
| 出すところ | 都道府県知事(東京都は環境局) | 都道府県公安委員会(窓口は管轄警察署) |
| 根拠の法律 | 鳥獣保護管理法 | 銃刀法 |
| 単位 | 免許の種類ごと(4種類) | 銃1丁ごと |
| 年齢(銃の場合) | 銃猟免許は20歳以上 | 原則、猟銃は20歳未満不可・空気銃は18歳未満不可 |
| 有効期間 | 3年 | 許可を受けた日から3回目の誕生日が経過するまで |
| 有効な場所 | 全国 | 全国 |
| 取り方 | 試験(知識・適性・技能)に合格する | 講習・教習を積み上げて申請する |
「1丁ごと」がいちばん大きい違い
狩猟免許は、合格すれば第一種銃猟免許が1つ交付されて終わりです。
銃砲所持許可はそうではありません。 警察庁の講習テキストの基準問題にも、 1丁の銃の所持許可を2人以上で受けることは認められず、 数丁を所持するなら銃ごとに許可を受ける必要があると書かれています。
あわせて、許可は人と銃の組み合わせに対して出るため、 他人と銃を貸し借りすることはできません。 知人に預けた場合、渡した側も預かった側も法律違反になります。
免許のように「持っていれば誰の道具でも使える」という発想が通じません。 自分はここを一番取り違えていました。
用途を決めて申請する
所持許可には用途があります。 「狩猟」「有害鳥獣駆除」「標的射撃」の3つです。
コレクション目的や、故人の遺品として持つことを理由に 所持許可を受けることはできません。
狩猟免許のほう(東京都・2026年9月時点)
自分が終えたのはこちらです。
- 申請先は東京都環境局 自然環境部 計画課 鳥獣保護管理担当(多摩地域は多摩環境事務所)
- 試験は知識試験・適性試験・技能試験の3つ
- 知識試験と技能試験は70%以上で合格、適性試験は全項目が基準を満たせば合格
- 有効期間は3年。ただし取得当初は、試験を受けた日から3年を経過した日の属する年の9月14日まで
- 更新は3年目の9月15日。それまでに更新申請書を出し、適性試験に合格すれば更新される
- 手数料は狩猟免許申請5,200円、更新2,900円
東京都は年に複数回試験をやっていて、申込は事前申請が必要でした。 試験そのものの中身は狩猟免許試験(第一種銃猟)を東京都で受けて合格した記録に書いています。
銃砲所持許可のほう(東京都・2026年9月時点)
ここからが、自分がこれから進める側です。 警察庁と警視庁の資料に沿って、順番だけ整理します。
初めて猟銃(散弾銃などの装薬銃)を持つ場合、流れはこうなります。
1. 猟銃等講習会(初心者講習)と考査
住所地を管轄する警察署に申し込みます。 申込には顔写真(縦3cm×横2.4cm、6か月以内)と、 住所・氏名・生年月日が確認できる公的な身分証明書の原本が必要です。
講習は指定の開催地で1日。手数料は6,900円。
講習の最後に考査があります。 警察庁の通達で運用が決まっていて、内容は次のとおりです。
- 時間:60分
- 出題:50問の正誤式(○×)
- 合格基準:おおむね45点以上
50問中45問。狩猟免許の知識試験が70%だったのに対して、こちらは9割です。 ここは軽く見ないほうがよさそうです。
合格すると講習修了証明書が交付されます。有効期間は3年間。
なお、警視庁の講習会日程は開催2か月前の1日に公開され、 申込期限は開催のおおむね2週間から1か月前に設定されています。 思い立ってすぐ受けられるものではありません。
2. 教習資格認定申請
次に、射撃教習を受ける資格の認定を申請します。 申請先は管轄警察署、手数料は8,900円。
必要書類は、猟銃の所持許可をまだ受けていない人の場合、
- 写真2枚(縦3cm×横2.4cm)
- 住民票の写し
- 本籍地発行の身分証明書
- 経歴書
- 診断書
- 同居親族書
- 講習修了証明書
住民票と身分証明書は申請日において発行から3か月以内、 診断書は受診日から3か月以内であることが求められます。
書類の顔ぶれを見て気づくと思いますが、 経歴書と同居親族書が入っています。 所持許可は、本人の適格性をかなり踏み込んで見る制度です。
通ると教習資格認定書が出ます。有効期間は3か月。 ここだけ極端に短いので、認定が出たら射撃教習の予約を急ぐことになります。
3. 射撃教習
教習射撃場で1日。教習費用の目安は約30,000円(警察庁の資料の目安)。 受講して考査に通ると教習修了証明書が交付されます。有効期間は1年。
空気銃の場合、この射撃教習は不要です。 警視庁の所持許可の流れのページにも明記されています。
また、射撃教習ではなく技能検定を受けるルートもあります。 こちらは受検手数料22,000円で、合格すると技能検定合格証明書(有効期間1年)が出ます。
4. 猟銃・空気銃所持許可申請
管轄警察署に申請します。手数料は1丁目が10,500円、 同時申請の2丁目以降は6,700円。
申請には写真2枚、診断書(申請日から3か月以内に医師が作成したもの)、 譲渡等承諾書、講習修了証明書などが必要です。
許可を出すのは東京都公安委員会です。
ここで重要な順番が1つあります。 所持許可の申請は、必ず銃を譲り受ける前にしなければなりません。 許可を受ける前に銃を譲り受けると、不法所持になります。
5. 許可が出たあと
許可証が交付されて終わりではありません。
- 許可を受けた日から3か月以内に銃を所持する
- 所持してから14日以内に管轄警察署へ銃を持参し、確認を受ける
この2つが続きます。
なお、実包(弾)を譲り受けるには、 所持許可とは別に猟銃用火薬類等譲受許可という手続きが要ります。 銃の許可と弾の許可は、制度上まったく別です。
期限の一覧
この制度でいちばん混乱するのが、証明書ごとに有効期間が違うところでした。 表にします。
| 証明書・許可 | 有効期間 |
|---|---|
| 講習修了証明書(初心者講習の考査に合格) | 3年間 |
| 教習資格認定書 | 3か月 |
| 教習修了証明書(射撃教習) | 1年 |
| 技能検定合格証明書 | 1年 |
| 猟銃・空気銃所持許可 | 許可を受けた日から3回目の誕生日が経過するまで |
短いものから逆算して動く必要があります。 特に教習資格認定書の3か月が効いてきます。
更新のほうも書いておくと、所持許可の更新申請ができるのは 有効期間が満了する日(誕生日)の2か月前から1か月前までです。 警視庁のページには、この期間を過ぎると原則として更新申請は受理できないとあります。
費用の目安
警察庁の資料に、初めて所持する場合の目安が出ています。
| 目安 | |
|---|---|
| 猟銃1丁(射撃教習を受ける場合) | 約58,700円 |
| 猟銃1丁(技能検定を受ける場合) | 41,800円 |
| 空気銃1丁 | 17,400円 |
いずれも認知機能検査(満75歳以上のみ)の手数料は含まず、 射撃教習のほうは教習費用を含んだ金額です。 内訳の主なものは次のとおりで、東京都(警視庁)の手数料一覧も同額でした。
| 項目 | 手数料 |
|---|---|
| 初心者講習 | 6,900円 |
| 教習資格認定 | 8,900円 |
| 射撃教習の教習費用(目安) | 約30,000円 |
| 所持許可申請(1丁目) | 10,500円 |
これは手続きの費用だけの話です。銃そのものの費用は含みません。
どちらを先に取るのか
自分は狩猟免許を先に取りました。 ただ、制度上どちらが先でなければならない、という決まりは 公式の説明では見つけられませんでした。
実際、所持許可の用途には「標的射撃」があるので、 狩猟免許を持たずに銃の所持許可だけを受けている人もいます。
一方で、銃で狩猟をするなら最終的にどちらも必要です。 どちらから始めるかは、試験の日程と講習会の日程の都合で決めることになります。
もうひとつある。狩猟者登録
ここもよく抜けるところです。
狩猟免許を取って、銃の所持許可も取って、それで猟に出られるかというと、まだです。
環境省の説明では、狩猟免許を持っているだけでは狩猟はできず、 実際に狩猟をする前に、狩猟をしようとする場所の都道府県知事に対して毎年 狩猟者登録を行い、狩猟税を納付する必要があるとされています。
- 登録は出猟したい都道府県ごと、しかも毎年
- 狩猟税は第一種銃猟免許の登録者で16,500円
- 3,000万円以上の共済または損害賠償保険への加入(または同等の賠償能力の証明)が必要
- 登録すると狩猟者登録証、狩猟者記章、鳥獣保護区等位置図(ハンターマップ)が交付される
狩猟期間は北海道以外が11月15日から2月15日まで、 北海道は10月1日から1月31日までです(都道府県ごとに延長措置あり)。
つまり銃猟をやるには、狩猟免許・銃砲所持許可・狩猟者登録の3つが揃って初めて成立します。
自分が混同していたこと
整理すると、自分の勘違いは4つでした。
- 狩猟免許を取れば銃を持てると思っていた。 まったく別の手続きで、これからゼロから始まる
- 許可は「人」に出ると思っていた。 実際は銃1丁ごと。貸し借りもできない
- 証明書の有効期間を1種類だと思っていた。 3年・1年・3か月とバラバラで、短いものから逆算が要る
- 免許と所持許可でゴールだと思っていた。 猟に出るには毎年の狩猟者登録がある
これから進める人へ
狩猟免許に合格した人は、いったんそこで一区切りです。 ただ、銃を使うつもりなら、次の一手は管轄警察署への初心者講習の申し込みになります。 講習会の日程が2か月前公開・申込期限が2週間から1か月前という運用なので、 早めに日程表を見ておくのがよさそうです。
出典
- 環境省「狩猟免許を取得する」 https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/license.html
- 環境省「猟具(猟銃、わな、網)を所持する」 https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/tool.html
- 環境省「狩猟者登録をする」 https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/register.html
- 環境省「狩猟制度の概要」 https://www.env.go.jp/nature/choju/hunt/hunt2.html
- 環境省「都道府県別狩猟免許に関する問合わせ先・申請先」 https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/inquirylist.html
- 環境省 自然環境局野生生物課 鳥獣保護管理室「鳥獣保護管理法と法に基づく保護管理制度の理解」(令和8年2月) https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort5/effort5-r07-2/kiso/lecture2.pdf
- 警察庁「猟銃・空気銃所持許可の申請手続」 https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/hoan/ryoujyu.sinnsei.tetuduki_r6.pdf
- 警察庁「猟銃等講習会における考査の運用要領について(通達)」(令和3年4月1日 警察庁丁保発第34号) https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/hoan/hoantsutatu2/20_ryojyukousa.pdf
- 警視庁「猟銃・空気銃・クロスボウ所持許可の流れ」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/firearms/juho_nagare.html
- 警視庁「猟銃等講習会・年少射撃資格講習会・技能講習」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/firearms/kousyu/ryoju_kosyu.html
- 警視庁「教習資格認定申請」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/firearms/application/training.html
- 警視庁「猟銃・空気銃の所持許可申請」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/firearms/application/owner.html
- 警視庁「更新申請」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/firearms/application/update.html
- 警視庁「手数料一覧」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/firearms/commission.html
- 警視庁「猟銃等講習会の日程」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/welcome/event_koshu/koshu/koshukai.html
- 東京都環境局「狩猟免許及び狩猟者登録」 https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/birds/hunting_license
※この記事は2026年9月時点の公式情報をもとに、東京都の場合として整理したものです。 手続き・手数料・日程の運用は都道府県ごとに異なり、法改正もあります。
※金額や有効期間は目安として書いています。 実際に手続きを進めるときは、狩猟免許についてはお住まいの都道府県の担当部署、 銃砲所持許可については住所地を管轄する警察署に必ず確認してください。
※この記事は制度の解説です。銃・弾・装備の入手や取り扱いについては扱いません。